ここは、試練の山山腹。
モンスターなどすっかり絶滅してしまった。
ハイウィンド、ハーヴィ両氏が2日と置かず駆逐作戦を繰り広げた成果だ。
今では観光地として発展し始めている。
試練の町などと呼ばれているが、試練的要素は何もない、平和な
ちなみに温泉を掘り当てたのも両氏である。
そんな
男2人で住むには無駄にでかい。
「おはよ、カイン」
ちゅ。
「ん・・・もうちょっと・・・」
「だめ、今日はお仕事でしょ、起きて起きて。」
「近所のオバさんたちに軍隊式トレーニングなんかもう教えたくない」
ぼくたちが一緒に暮らしだして、3年になる。
ローザとの結婚は長く続かなかった。
ぼくが押しかけ女房よろしく、試練の山に住むカインの下を訪れたからだ。
あの時のカインは驚いていたな。
「コーヒーも淹れたし、目玉焼きも作ったんだよ。サラダのドレッシングは手作りだし、カインの好きなロスティも焼いたんだ」
「・・・俺を太らせる気だな、セシル」
ぼくを受け入れてくれた時のことを思い出す。
いっぱいキスしてくれたことも。
好きだと言ってくれたことは一度もないけど、いいんだ。
今まで「可愛いセシル」っていう言葉と、「俺のセシル」って言葉をもらってるし。
カインの言葉は、たからものだから。
「他に何か要る?ジュースとかデザートとか何か甘いもの・・・」
「そうだな、じゃあこれを・・・」
ぐい。
「わっ、何するんだよ、ダメ・・・ッ」
突然ベッドに引き込まれて、バランスを崩す。
エプロン、濡れてるのに。
「食うか」
「んう・・」
「やっぱりお前は甘いな」
唇をふさがれては、何も言えない。
ぼくの中の宝箱に、またひとつカインの言葉が入った。