「まだ目覚めないのかい、セリスは」
「なぜ私を殺して彼女を連れて行かないんだ?」
「目覚めた時、そばにぼくがいたら怖がるだろ」
だからそれまでアンタは生かしておいてあげるよ、シド。
ぼくがこの島を訪れるのは毎日。
眠っている彼女とお話をして帰りにキスをひとつ。
こんな毎日にぼくは満ち足りている。
「そうかあ・・・」
彼女が目覚めた時そばにいるのが怖いのはぼくのほうなんだ。
いつまでもセリスが眠ったままの人形だったらいいのに。
(2008.4.5)
小説置き場に戻る