公式設定ありがとう記念SS。
世にも珍しいクルーヤ×ゼムスです。
そういや、ゼムスさんに夢中だった時期がありましたね・・・





「なぜ青き星に降りてはいけないんだろう」

 

クルーヤの部屋には大きな窓があって一日の半分は青き星が見えた。

起きている時も眠っている時も、彼は窓に映る映像を消そうとしなかった。

ボタン1つで窓を曇らせることができたのに。

 

「見ないほうがいいよクルーヤ・・・ぼくたちの星はあれじゃない」

「お前はいいよな、オモチャがあれば毎日楽しいだろ」

 

 

クルーヤはぼくの研究をいつだってバカにしていた。

 

人間の生命力を癒しの力に変換するボディースーツ。

 

「お前の背中は穴だらけ」

「自分の星に帰りたいんだ・・・」

 

ぼくは両腕から白い光を生んで見せた。

テーブルの花瓶の中でしおれていた赤い花が再び生き生きと色づく。

 

「余計なことを」

 

死の星と化した故郷を1人歩くぼく。

死んだ緑をよみがえらせながら。

 

そんなぼくの夢をクルーヤは笑っていた。

 

「まわりくどい」

 

死んだ星に何の未練がある?

 

青き星を侵略してしまえばいい。

お前と俺ならできるよ、ゼムス。

その力を暗黒の力に代えればいいだけだ。

 

「クルーヤ、そんなこと言わないで」

 

「冗談だよ、優しいんだな」

 

でもぼくは、クルーヤが望むならなんでもしてしまうだろう。

 

死んだ組織を機械で補うたびにできる、つぎはぎだらけの醜い肌を綺麗だと言ってくれたのは彼だけ。

 

月の避難所に1人残った人種の違うぼくを守ってくれたのも彼だけ。

 

 

クルーヤがぼくから去ってしまうのが怖かった。

そんな日が来たら、ぼくはどうなってしまうんだろう。

 

「ねえ、クルーヤ、今夜だけは・・・」

 

窓を見上げる恋人の背中に顔を埋めながら言う。

 

・・・青き星を消してくれないか。



(2007.10.28)




クルーヤ、悪い男。こいつが真のラスボスだったという話。歴史に埋もれた事実なんてこんなもんです。




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