「陛下は何をお考えなのだ・・・・ミシディアのクリスタルを奪うなど」

「カイン・・・・そんなに飲んだら体に悪いわ」

「フッ、案ずるなローザ・・・・俺は忘れたいんだ、あの悲鳴を」

 

「じゃあ、私が忘れさせてあげる」

 

(セシル「キー!」)

 

ああ、私の想いは本当に伝わっているの?

何度肌を重ねても、この人は遠くを見ている。

 

「竜騎士団隊長を解任・・・・?」

私たちはカインのベッドの中。

「ああ、今日、陛下に意見を言ったんだ・・・・・もう、キャサリンにも会えなくなる・・・・」

キャサリンとは、カインの飛竜の名だ。

いつもカインと共に過ごすこのメスドラゴンに、私は軽い嫉妬を覚えていた。

 

でも、彼の肩に頬をよせて眠れるのは、私だけ。

私の一方的な気持ちを、この人はどう思っているのだろう。

カインの宿舎に通い出して半年になろうとしているのに、彼の口からは結婚はおろか愛の言葉の一つも出てこない。

 

 

答えを欲しがらないこと。

 

 

それが、カインとの付き合いの中で私が学んだことだった。

「俺はバロンを捨てる。周辺国の力を借りて、国王を正そうと思う」

「私もついて行くわ。いいでしょ、カイン?」

 

「フッ、好きにしろ」

 

 

 

どれだけ歩いただろう・・・?

今どこにいるんだろう・・・?

 

 

「ファブールには西に半日ほど進めば着きますよ、旦那。」

「分かった、ありがとう」

 

旅の商人に出会う回数が増えてきた。町が近い証拠だ。

 

「それより、連れのお嬢さん、具合が悪そうだが大丈夫ですか?これをあげますよ、代金はいいから」

商人が私にポーションを差し出す。

「ん・・・?ローザ・・・?」

「私は大丈夫よ、カイン」

 

ああ、言わないで頂戴。

カインの歩幅についていくのに精一杯でクタクタだなんて気付かれたくない。

彼に足手まといだと思われたくなかった。

私は商人を睨んだつもりなのに、相手はなぜか頬を赤らめる。

 

「いーですなー、こんな美女と2人連れなんて・・・・ファブールは格式高い神前結婚式でも有名です。お2人はひょっとして、式を挙げに来たのでは?花婿が花嫁に贈る髪飾りを知っていますか?私、色々持っていますよ!」

 

商魂たくましいオジさんが、背負っていた荷をほどく。

木の箱には、綺麗なアクセサリーが詰まっていた。

 

「わあ・・・」

「いらん。俺たちはファブール王に会いに行くんだ」

ナイススルー、カイン。

 

「そうですか・・・。城の周りでは、修行中のモンク僧に気をつけてください。修行と称して襲ってきますから」

 

「わはははははは、修行だ修行だー」

 

「ホラ来たー!逃げたほうがいいですよー!さよならー」

目の前に飛び込んできた金髪で辮髪の男。

そのいでたちの異様さに、私は身動きひとつできなかった。

 

「とびげりー!」

「ウボァー(FF2やったことないけど)」

「ローザ!」

 

私は、ヘンな悲鳴をあげて崖から落ちていった。

 

 

 

「おーい、ローザ、大丈夫か?」

 

頭上からカインの声が聞こえるが、両足の痛みにしばらく声も出なかった。

「うう・・・」

ひねったか、折れたか。

 

「今からそっちに行く、待ってろ」

「ダメよ!来ないで!」

 

いくらカインでもこの絶壁を上り下りしていたら夜になってしまう。

崖の下は大モクレンの生い茂る森だった。

白い花に邪魔されて、太陽の光さえ届かない。

 

ああ、私、何の役にも立ってないじゃない。

それどころか、迷惑かけて・・・。

 

「よ、用事を思い出したわ!先に行ってて!」

「用事?」

 

「女の子の用事よ!男のカインには分からない!」

女の用事という言葉は、男社会で育ったカインに絶大な効果がある。

 

 

「城はすぐ近くだし、後から行くから!」

「そうか・・・分かった・・・」

 

 

これでいいの。

 

 

遠ざかるカインの足音を聞きながら、ぼんやりと思った。

「強くならなきゃ・・・・」

 

ケアル。

ケアル。

効果なし。

 

「骨折にはケアルラしか効きませんからね」とは魔法学の先生の教え。

 

「うっう・・・・」

・・・・泣かないの、ローザ、強くならなきゃ。

堂々とカインの後ろを歩けるように。

 

でないと彼は1人で行ってしまう。

 

「うう・・・ヒクッ・・・」

ぼろぼろ泣いて疲れた私は、モクレンの根元に倒れこんでしまった。

 

 

 

カインを好きになってもいいの?

あなたのそばにいてもいいの?

私を愛してくれているの?

 

 

 

ふわふわと雪が降る夢を見た。

 

凍った湖の上をどこまでも滑っていく子供時代のカイン。

何年も前の記憶だった。

厚着した私が、初めて履くスケート靴に戸惑っている。

 

カインについていこうとして、何度も転んで・・・。

彼に笑われて泣きじゃくっている。

 

ああ、私って昔から泣き虫だったのね。

 

最後には、飽きれたようにカインが抱き起こしてくれた。

 

 

 

「手のかかるヤツ」

 

「え・・・?」

 

 

これは夢の続き?

 

私は、モクレンの花に包まれていて、傍らにはすっかり大人になったカインがいる。

「行くぞ」

「あの、でも、私、足が・・・」

 

ひょいとすくい上げられた。

 

「カイン・・・」

 

「この旅が終わったら、またここに来ような」

「うん・・・」

 

私はカインの腕の中にいて、

私の髪はモクレンで飾られている。

 

これが、カインがくれた答え。

 

「ねえ、今夜、あなたの部屋に行くわ」

 

その夜、私たちはファブールの神聖な寝室で、とtt・・・・・・・

 

???「起きろカイン!」

カイン「ハッ・・・・お前は!?」

???「ふふ、私はゴルベーザ。この夢の続きが見たければ、我が配下となれ」

 

 

自ら進んで洗脳されますか?

→はい

  冗談じゃない

 

 

 

 ファイナルアンサー?






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